令和元年6月、静岡市中央体育館で行われた第66回東海高等学校総合体育大会で、来迎寺剣道教室元主将の徳永拓也主将率いる西尾東高等学校が第5位ベスト8に輝いた。

 

予選リーグ。

三重高校(三重県一位)、東海大翔洋(静岡県二位)、麗澤瑞浪(岐阜県三位)。知名度、実力ともに各県トップクラスの強豪私立高校の中に唯一、県立西尾東高校。

 

緒戦の相手は三重高校。全日本選手権覇者、木和田大起を輩出した名門高校。

 

先鋒、後藤。

引き技、連続技、出鼻、フェイント。攻め口を探りながら果敢に一本を狙いにいくも相手も必死。一進一退の攻防。残り時間30秒。お互いに間合いを切った瞬間、相手が思い切ってメン!後藤が引き出したか、その出鼻をコテ!審判の旗は後藤のコテに3本!!先鋒・後藤が珠玉の一本先取!!そのまま時間切れとなり後藤の一本勝ち。

 

次鋒・長尾も後藤の1本を守り切り、バトンをつなぐ。

 

そして中堅・徳永。

対峙した二人の間の空気が張り詰める。合気。

お互いにグッと重心を落としたかと思った次の瞬間、相手がロケットのように飛び出し徳永の出鼻のメンに襲いかかる。徳永、受ける竹刀が間に合わず、咄嗟に膝を落として紙一重でかわしたか。うかつに出れば一瞬でやられる。

徳永、右足のつま先で重い空気の壁をジリジリと1ミリずつ前に押し出すように間合いを詰める。充分に圧力をかけておいてからグッと重心を落とすと、タガが外れたように相手がメンに飛び出し、そこを返しドウ!しかし一瞬早く狙いを察知した相手は急停止。徳永のドウを竹刀で防ぐ。

 

際どい判定につながるような、相手の応じを許すような仕掛け方はしない。それでありながら終始攻めの姿勢を忘れず、相手を崩し、引き出し、隙あらばリードを広げチームの勝利をより確実にする一本を狙う。今の状況と自分の役割をしっかりと理解した戦いぶり。

 

一歩踏み外せば、真っ逆さま。固くなって当然の状況でありながら、落ち着いて状況分析をするクールな頭脳と、なんとしてもチームを勝利に導くという熱い魂を、絶妙のバランスで一つの身体に宿しているように見えた。

 

最後の一瞬まで微塵も気を抜くことのできない4分間を戦い抜き、引き分け。見事に役割を果たした。

 

バトンを受けた副将・山田は、勝利を決定づけるべく、開始と同時に意表をついて逆胴を狙う。

旗こそあがらなかったが、その攻めの姿勢がチームの一本を守った。引き分け。

 

大将戦。なんとしても1本を取りたい三重。中盤からの怒涛の猛攻をしのぎ切り、大将・岡田が存在感を示した。引き分け。

 

西尾東の一人ひとりがそれぞれの剣道で、それぞれの役割を果たして勝ち取った大金星!

 

その勢いのままに、かつて梶谷・星子率いる最強九州学院をあと一歩のところまで追いつめた岐阜の強豪、麗澤瑞浪をも下し、決勝トーナメント進出!!

 

準決勝で同じ愛知の強豪、名古屋大谷に僅差で敗れたものの、無名の県立西尾東高校が第5位ベスト8に輝き、東海道に旋風を巻き起こした。

 

徳永拓也君 西尾東高校の主な戦績

【団体(西尾東高校】

<一年時:先鋒>

全三河剣道大会 3位

新人大会西三河予選 3位

新人大会愛知県大会 5位

新人大会東海大会出場

 

<二年時:中堅>

総体西三河予選 3位

新人大会西三河予選 準優勝

新人大会愛知県大会出場

西三河剣道大会 準優勝

 

<三年時:中堅>

金鯱旗争奪剣道大会 ベスト8

総体西三河予選 準優勝

総体愛知県大会 3位

総体東海大会 5位

【個人】

<二年時>

西三河剣道大会 3位

新人大会西三河予選 5位

新人大会愛知県大会出場

 

<三年時>

総体西三河予選 5位

総体愛知県大会出場


【インタビュー】

--東海大会団体第5位ベスト8、おめでとうございます。高校最後の総体、西三から東海大会まで自身で振り返ってみていかがですか?

徳永 ありがとうございます。今までの厳しい練習の成果を十分に発揮することができ、目の前の一戦一戦を大切に戦い、ここまで来れたことが本当に嬉しいと思っています。

 

--西尾東高校剣道部の仲間をどう思っていますか?徳永君にとってどんな存在ですか?

徳永 チームとして毎日一緒に厳しい練習を乗り越えてきた仲間でもあり、大切な友達でもあり、自分にとって一生忘れられない大きな存在だと思っています。

--高校に入って、自身の剣道のここが変わった、ここが成長したと思うことがあったら教えて下さい。

徳永 高校生ということもあり、スピードと打突の強さが一番の変化だったと思います。

 

--小学生時代から高校まで、家族はどのようにサポートしてくれましたか?そのご家族への思いも含めて教えて下さい。

徳永 自分の高校では、朝練や錬成会、遠征等が多々あり、早く起きてお弁当を作ってもらったり、遠征の送迎、試合の応援等、たくさん迷惑をかけていて、家族の支えがなければここまで来れなかったと思っているので、本当に感謝しています。

--来迎寺剣道教室はじめ知立市の各教室ではどんなことを学びましたか?

徳永 主に基本打ちの重要さと、段審査に必要でもあり剣道の要素が全て入っている剣道形を学べたことは大変役立っています。

 

--来迎寺剣道教室はじめ知立の後輩にアドバイスをお願いします。

徳永 とにかく剣道を好きになって、剣道を楽しくやって下さい。そうすれば自然と強くなると思います。皆さん頑張ってください。